2009.12.28 Monday
「債務整理事件の処理に関する指針」策定についての会長声明
会長声明集|日本司法書士会連合会
平成21年12月25日
「債務整理事件の処理に関する指針」策定についての会長声明
日本司法書士会連合会 会長 細 田 長 司
昨今、司法書士の債務整理事件処理における広告や報酬のあり方についての報道がなされるなど、倫理面での問題が指摘されています。
日本司法書士会連合会では、多重債務問題が深刻な社会問題であり、その解決が健全な社会の形成に極めて重要であること、また、債務整理事件の処理は生活再建のための手段であり、依頼者が望んでいるのは債務整理事件の処理を通じて生活を再建することであるということを再度確認し、多重債務状態に陥っている依頼者の債務整理や生活再建のために、法律専門家として司法書士のとるべき執務姿勢を示すために、「債務整理事件の処理に関する指針」を策定しました。
これまで司法書士は、常に市民の傍らにあり身近な法律家として歩んできました。今、改めて、その原点を思い起こし、今後も「くらしの法律家」として市民の権利保護のために努めてまいります。
債務整理事件の処理に関する指針
(平成21年12月16日理事会決定)
(目的)
第1 この指針は、司法書士の行う債務整理事件処理が債務者の生活再建に重要な役割を果たしていることから、債務整理事件における司法書士の不適切な事件処理を防止し、もって深刻な社会問題となっている多重債務問題の解決に資することを目的として、債務整理事件の処理にあたり配慮すべき事項を定めるものである。
(定義)
第2 この指針における用語の意味は、次のとおりである。
(1)債務整理事件金銭の貸付けを業とする者、立替払いを業とする者、信用供与を業とする者又はこれらに類する者に対して債務を負担する者から受任する任意整理事件、特定調停事件、過払金返還請求事件、破産申立事件、民事再生事件及びこれに類する事件
(2)依頼者債務整理事件について司法書士に委任若しくは委託しようとする者又はしている者
(基本姿勢)
第3 債務整理事件の処理にあたっては、依頼者の生活再建を目指すことを常に念頭に置き、必要に応じて行政サービス等を受ける機会を確保するなど、依頼者の生活再建のための方策を講じるものとする。
(広告)
第4 債務整理事件に関して、品位又は信用を損なうおそれのある広告宣伝又は有利な結果を保証するような内容の広告宣伝を行ってはならない。
(面談)
第5 債務整理事件の依頼を受けるにあたっては、依頼者又はその法定代理人と直接面談して行うものとする。ただし、次に掲げる場合等合理的理由の存する場合で面談以外の方法によって依頼者本人であることの確認及びその意向が確認できるときは、この限りでない。
(1)従前から面識がある場合
(2)依頼者が現に依頼を受け又は受けようとしている者の保証人(連帯保証人を含む。)である場合で、債権者の厳しい取り立てを速やかに中止させる必要があるとき
(3)依頼者が離島などの司法過疎地に居住する場合で、債権者の厳しい取り立てを速やかに中止させる必要があるとき
2 面談においては、負債の状況、資産及び収入の状況並びに生活の状況等の現状を具体的に聴き取り、依頼者の置かれた状況を十分に把握したうえで、債務整理事件処理及び生活再建の見通しを説明するものとする。
(依頼者の尊重)
第6 債務整理事件の依頼を受けるにあたり、又はこれを処理するにあたっては、依頼者の意向を十分に聴き取り、依頼者の自己決定を尊重しなければならない。
2 依頼者が適切に手続を選択できるよう各手続の内容をできるだけわかりやすく説明し、依頼者の意向に添う処理が困難と思われる場合には、依頼者の理解が得られるよう書面を示すなどして丁寧に説明するものとする。
(業務範囲の説明)
第7 債務整理事件の依頼を受けるにあたっては、簡裁訴訟代理等関係業務及び裁判書類作成関係業務についての業務範囲を明確にする等、依頼を受ける業務の内容及び範囲を説明するものとする。
(本人訴訟支援のあり方)
第8 依頼者から裁判書類作成関係業務の依頼を受ける場合には、簡裁訴訟代理等関係業務との相違点を依頼者に十分説明し、依頼者が適切に訴訟行為を遂行できるように助力しなければならない。
(不利益の説明)
第9 債務整理事件の依頼を受けるにあたっては、依頼者に対し、次に掲げるものの他、不利益が発生する可能性がある事項を説明するものとする。
(1)信用情報機関に事故登録される可能性があること
(2)破産の場合には資格制限があること
(3)不動産の所有権を失う可能性があること
(4)自動車等の所有権が留保されている物件の占有を失う可能性があること
(報酬)
第10 債務整理事件の依頼を受けるにあたっては、その内容を明らかにした契約書を作成するとともに、報酬表を提示するなどして事件処理に係る報酬額及び費用又はその算定方法を明示したうえで十分に説明しなければならない。
2 依頼者が民事法律扶助制度における資力要件に該当する場合には、民事法律扶助制度を教示して、依頼者がこれを利用するか否かについて選択の機会を与えたうえで、その意向を十分に考慮するものとする。
(偏った事件処理の禁止)
第11 債務整理事件を処理するにあたっては、合理的な理由がないにもかかわらず、依頼者の他の債務の有無を聴取しないで、又は依頼者に他の債務があることを知りながら、過払金返還請求事件のみを処理するなどしてはならない。
2 正当な理由なく裁判書類作成関係業務の依頼を拒否してはならない。
(進捗状況の報告)
第12 債務整理事件の処理にあたっては、依頼者に対し、定期的に、又は必要に応じて処理状況を報告しなければならない。
2 過払金の返還を受けるなど、依頼者のために金品を受領した場合は、速やかに依頼者に報告しなければならない。
3 債務整理事件の処理が終了したときは、その経過及び結果を遅滞なく依頼者に報告しなければならない。
(費用・報酬の精算)
第13 債務整理事件が終了したときは、遅滞なく、費用の精算をし、依頼者から預かった書類及び依頼者のために取得又は受領した書類等を返還するものとする。
(事件終了後の支援)
第14 債務を分割して弁済することとなった場合その他依頼者の生活再建の支援が必要となった場合には、適宜面談するなどして、適切な助言ができるよう努めるものとする。
平成21年12月25日
「債務整理事件の処理に関する指針」策定についての会長声明
日本司法書士会連合会 会長 細 田 長 司
昨今、司法書士の債務整理事件処理における広告や報酬のあり方についての報道がなされるなど、倫理面での問題が指摘されています。
日本司法書士会連合会では、多重債務問題が深刻な社会問題であり、その解決が健全な社会の形成に極めて重要であること、また、債務整理事件の処理は生活再建のための手段であり、依頼者が望んでいるのは債務整理事件の処理を通じて生活を再建することであるということを再度確認し、多重債務状態に陥っている依頼者の債務整理や生活再建のために、法律専門家として司法書士のとるべき執務姿勢を示すために、「債務整理事件の処理に関する指針」を策定しました。
これまで司法書士は、常に市民の傍らにあり身近な法律家として歩んできました。今、改めて、その原点を思い起こし、今後も「くらしの法律家」として市民の権利保護のために努めてまいります。
債務整理事件の処理に関する指針
(平成21年12月16日理事会決定)
(目的)
第1 この指針は、司法書士の行う債務整理事件処理が債務者の生活再建に重要な役割を果たしていることから、債務整理事件における司法書士の不適切な事件処理を防止し、もって深刻な社会問題となっている多重債務問題の解決に資することを目的として、債務整理事件の処理にあたり配慮すべき事項を定めるものである。
(定義)
第2 この指針における用語の意味は、次のとおりである。
(1)債務整理事件金銭の貸付けを業とする者、立替払いを業とする者、信用供与を業とする者又はこれらに類する者に対して債務を負担する者から受任する任意整理事件、特定調停事件、過払金返還請求事件、破産申立事件、民事再生事件及びこれに類する事件
(2)依頼者債務整理事件について司法書士に委任若しくは委託しようとする者又はしている者
(基本姿勢)
第3 債務整理事件の処理にあたっては、依頼者の生活再建を目指すことを常に念頭に置き、必要に応じて行政サービス等を受ける機会を確保するなど、依頼者の生活再建のための方策を講じるものとする。
(広告)
第4 債務整理事件に関して、品位又は信用を損なうおそれのある広告宣伝又は有利な結果を保証するような内容の広告宣伝を行ってはならない。
(面談)
第5 債務整理事件の依頼を受けるにあたっては、依頼者又はその法定代理人と直接面談して行うものとする。ただし、次に掲げる場合等合理的理由の存する場合で面談以外の方法によって依頼者本人であることの確認及びその意向が確認できるときは、この限りでない。
(1)従前から面識がある場合
(2)依頼者が現に依頼を受け又は受けようとしている者の保証人(連帯保証人を含む。)である場合で、債権者の厳しい取り立てを速やかに中止させる必要があるとき
(3)依頼者が離島などの司法過疎地に居住する場合で、債権者の厳しい取り立てを速やかに中止させる必要があるとき
2 面談においては、負債の状況、資産及び収入の状況並びに生活の状況等の現状を具体的に聴き取り、依頼者の置かれた状況を十分に把握したうえで、債務整理事件処理及び生活再建の見通しを説明するものとする。
(依頼者の尊重)
第6 債務整理事件の依頼を受けるにあたり、又はこれを処理するにあたっては、依頼者の意向を十分に聴き取り、依頼者の自己決定を尊重しなければならない。
2 依頼者が適切に手続を選択できるよう各手続の内容をできるだけわかりやすく説明し、依頼者の意向に添う処理が困難と思われる場合には、依頼者の理解が得られるよう書面を示すなどして丁寧に説明するものとする。
(業務範囲の説明)
第7 債務整理事件の依頼を受けるにあたっては、簡裁訴訟代理等関係業務及び裁判書類作成関係業務についての業務範囲を明確にする等、依頼を受ける業務の内容及び範囲を説明するものとする。
(本人訴訟支援のあり方)
第8 依頼者から裁判書類作成関係業務の依頼を受ける場合には、簡裁訴訟代理等関係業務との相違点を依頼者に十分説明し、依頼者が適切に訴訟行為を遂行できるように助力しなければならない。
(不利益の説明)
第9 債務整理事件の依頼を受けるにあたっては、依頼者に対し、次に掲げるものの他、不利益が発生する可能性がある事項を説明するものとする。
(1)信用情報機関に事故登録される可能性があること
(2)破産の場合には資格制限があること
(3)不動産の所有権を失う可能性があること
(4)自動車等の所有権が留保されている物件の占有を失う可能性があること
(報酬)
第10 債務整理事件の依頼を受けるにあたっては、その内容を明らかにした契約書を作成するとともに、報酬表を提示するなどして事件処理に係る報酬額及び費用又はその算定方法を明示したうえで十分に説明しなければならない。
2 依頼者が民事法律扶助制度における資力要件に該当する場合には、民事法律扶助制度を教示して、依頼者がこれを利用するか否かについて選択の機会を与えたうえで、その意向を十分に考慮するものとする。
(偏った事件処理の禁止)
第11 債務整理事件を処理するにあたっては、合理的な理由がないにもかかわらず、依頼者の他の債務の有無を聴取しないで、又は依頼者に他の債務があることを知りながら、過払金返還請求事件のみを処理するなどしてはならない。
2 正当な理由なく裁判書類作成関係業務の依頼を拒否してはならない。
(進捗状況の報告)
第12 債務整理事件の処理にあたっては、依頼者に対し、定期的に、又は必要に応じて処理状況を報告しなければならない。
2 過払金の返還を受けるなど、依頼者のために金品を受領した場合は、速やかに依頼者に報告しなければならない。
3 債務整理事件の処理が終了したときは、その経過及び結果を遅滞なく依頼者に報告しなければならない。
(費用・報酬の精算)
第13 債務整理事件が終了したときは、遅滞なく、費用の精算をし、依頼者から預かった書類及び依頼者のために取得又は受領した書類等を返還するものとする。
(事件終了後の支援)
第14 債務を分割して弁済することとなった場合その他依頼者の生活再建の支援が必要となった場合には、適宜面談するなどして、適切な助言ができるよう努めるものとする。